スリランカ アーユルヴェーダ特集
アーユルヴェーダとは、五千年の歴史をもつインド・スリランカ発祥の伝統医療です。サンスクリット語のアーユス(Ayus/生命)とヴェーダ(Veda/科学)からなる言葉で、「生命科学」を意味し、世界保健機構(WHO)からも公式に認められています。
「ヴェーダ」というのは文献の名前でもあり、アーユルヴェーダは紀元前約1000年前に記された『ヴェーダ文献』が起源とされています。
文献上での記録ではここが最初ですが、アーユルヴェーダ自体の歴史はもっと古く、5000年前や10000年以上前からあるとも言われています。ここでは「神々のつぶやき」や「仏陀の薬箱」と呼ばれるアーユルヴェーダの魅力をご案内します。
病気を見る西洋医学に対し、アーユルヴェーダは個を見る医療と呼ばれています。病気になってしまってから、それを治すことより、病気になりにくい心身を作ること、病気を予防し、健康を維持するという「予防医学」の考え方に立っています。
インド・スリランカにおけるアーユルヴェーダは特別な治療ではなく、食事や睡眠など人々の日常生活と密に関わったものとなっています。日本では1970年代からアーユルヴェーダという言葉が聞かれるようになり、人々に知られるようになったのはごく最近のことです。
例えば人が病気になったとき、単に投薬や手術などの対症療法で治療するのではなく、「生き方」そのものを見つめ直すことで、病気のもとを断つという考え方、ここでいう「生き方」とは、食事・運動、睡眠などの生活習慣全般と、人間関係や考え方などの精神面も含まれます。
アーユルヴェーダにおける最も大切な概念のひとつに”アグニ”があります。アグニとは消化力のエネルギーです。
消化といっても食べものを消化するだけでなく、心に生じた感情や考え、目や耳から受け取った情報など、私たちが外界から取り入れたものを完全に消化できたとき、”オジャス”とよばれる生命エネルギーが作られます。アグニのエネルギーが弱まって私たちが摂取したものを十分に消化できないとき、”アマ”とよばれる有毒な残渣物が体に蓄積します。この有毒な残渣物がたまってくると、心身をめぐるエネルギーの流れが悪くなり、最終的に病気という形で現れることになります。
不消化な経験や感情も食物と同じように有害な残渣物となり、心に蓄積します。この心の残渣物は、感情のエネルギーの流れを滞らせ、恐れ、怒り、心配などのネガティブな感情を生み出し、精神的な苦痛をもたらします。ですから、健康な心身のためには強いアグニを維持することこそが、重要であるのです。アグニを強くするために、どんな食事をとればいいのか、どんな生活を送ればいいのか、どんな運動を行えばいいのか、などが大切になります。しかし、それはその人が生来持つ体質によって変わってきます。
以下、アーユルヴェーダにおける体質についてお話したいと思います。
誰かに勧められたり、テレビやインターネットの情報で体にいいといわれる食べ物を食べてみても、今一つ自分には合わない感じがしたり、逆に体調が悪くなったりという経験はありませんか?また、友人があるエクスサイズを始めてとても体の具合がよくなったといわれて、同じエクスサイズをしてみても疲れるだけだったり・・・。
アーユルヴェーダでは、”万人にいい(または悪い)食べ物はない。あなたにとっていい(または悪い)食べ物があるだけである。”と言っています。その人の体質が違うと、ある人にとってはとてもいい食べ物でも別の人にとっては有害になることさえあるのです。
運動にしてもある人にとっては、とても元気になれるのに、別の人にとっては心身のバランスを崩して体調を悪化させるだけかもしれません。ですから、自分の体質を知って、自分の体質にあった食物、運動、生活習慣を取り入れることによって、心身ともに健康で、自然のリズムに沿って楽に生活することができます。
アーユルヴェーダでは、心と体の基本的な性質を表す3つの体質(ドーシャ)があり、ヴァータ、ピッタ、カパといいます。
多くの人は、生来この3つのドーシャのうち優勢な1つないし2つのドーシャに主に影響されます。
ヴァータは、アーユルヴェーダにおいて、「風・空」のエネルギーを表す言葉です。ヴァータの性質は、軽・冷・乾・粗・動といった空・風の元素で構成されており、身体活動、心拍、感覚、呼吸、筋肉系統や神経の伝達の動きをつかさどります。
ヴァータの体質を改善するには、次のような方法が考えられます。 | |
ピッタは、アーユルヴェーダでいう「火・水」の性質を持つ生命エネルギー(ドーシャ)です。ピッタの性質や特徴には、次のようなものがあります。 ピッタの体質を改善するには、次のような方法があります。 | |
カパとは、アーユルヴェーダにおいて、自然界の「土と水」のエネルギーを指す言葉です。
カパの体質を改善するには、次のような方法があります。 |
私たちは、季節や時間、年齢、自分を取り巻く環境から常に影響を受けています。「変化しないものはない」ように、私たちの感情も身体も常に一定ではありません。
乱れることは当たり前なのです。ただ、その乱れた状態を長期化することによって、病気の発症につながるとアーユルヴェーダでは考えます。
自分の状態を知るということは、とても大事なことです。
ぜひアーユルヴェーダの知恵を参考にしながら、より良い毎日にしていきましょう。
ホテルJetwing Ayurveda Pavilionsアーユルヴェーダ体験コース
今回は海外一人旅でアーユルヴェーダを体験してきました。アーユルヴェーダとは不調を整え心と体の健康を保つことを目的としたもので、様々な節目を迎えた方や体調や食生活を変えたい方に人気の体験型の旅です。ここでは、私の体験を通して、アーユルヴェーダの魅力をたっぷりとご案内します。
1日目
AM10:45成田空港出発
実はスリランカにはアーユルヴェーダを目的とした女性の一人旅が多い事を知っていますか?日本からは直行便が週に4便運行されており、フライト時間は約10時間と長めではありますが、時差は3時間半なので、時差に苦しむ事がほとんどないことなどが旅行先に選ばれる理由の1つだと思います。
海外一人旅ゆえの心細さから、私のように一人旅の女性がいたらいいなと考えながら、搭乗時刻の約3時間前に成田空港に到着しました。
スリランカ航空のカウンターはまだオープン前でしたが、すでに並んでいる一人旅らしきの女性を発見し、勝手に勇気づけられました。
搭乗者の日本人は少なくスリランカ人と思われる方ばかりでした。
PM5:30バンダラナイケ国際空港到着
到着すると最初にブッダ像が迎えてくれます。ブッダの裏手にアライバルビザ発給カウンターがあります。
到着口すぐ前には、呼び込みをする両替所が数件あって、その中の1軒で両替を
済ませました。ちなみにレートはどこも一緒みたいです。
送迎は事前にホテルに依頼していたので、日本語の出来るドライバーさんが名前のボードを掲げ笑顔で迎えてくれました。送迎があるだけで、女性一人旅のハードルはグッと低くなると思います。
空港にはSIMの店や、レンタカー(ドライバー付き)カウンター、出口に向かう途中にはスリランカの配車アプリPick Meの乗車場所の看板もあり、英語が出来る方や旅行になれている方であれば、ネット環境やホテルまでの足は現地に着いてからでも簡単に見つけられると思います。
PM6:30ホテル到着
本来なら20分~30分の距離らしいですが、夕方の渋滞で少し遅めの到着でした。ホテルに到着するとフロントで、水を張ったボウルの中に浮いてるキャンドルに火を灯すウエルカムキャンドルと、額に赤と白のティカ(Tika)(赤い色粉と米とヨーグルトを混ぜて作られる)をつける歓迎をしていただきました。ティカはヒンドゥー教の儀式でつける祝福を表わす印です。
お部屋はホテルのような部屋タイプとヴィラタイプ(エアコン付きとなし)があります。今回は後者を選びました。蒸し暑いのでエアコンつきをお勧めします。
夕食はプールの前レストランで屋根があって壁のない解放的な空間(蚊に注意)で完全ヴィーガン食のコースをいただきました。
夕食後、翌日のアーユルヴェーダ施術スケジュールがレストランに張り出されるので、確認し1日目が終了しました。
初日のディナー
2日目
朝の散歩を楽しみに早起きしました。こじんまりとした感じのホテルですが、プールの後ろにもヴィラが数件ありました。初めてスターフルーツが木に成っているところを見て嬉しくなりました。背の高い椰子の木にも実が成っていました。なによりも鳥たちが元気に飛び回り鳴いている姿が印象的でした。
AM6:30~AM7:00ヨガ・朝食
ヨガ専用の施設(ヨガホール)は広々とした落ち着いた空間です。ヨガホールの前には私が今回泊まったヴィラタイプとは異なるホテルのような建物がありました。この日のヨガ参加者は私と日本人女性の2人で、ヨガの先生は日本で働いていた経験があり日本語でコミュニケーションをとることが出来ました。(すべての先生が日本語が出来る訳ではないそうです)
ヨガが終わると朝食の時間になりレストランで朝食をいただきました。
AM9:00 医師の脈診・視診・触診・問診で自分の体質タイプ判定
朝食後、アーユルヴェーダセンターという施設に移動し医師による自分のアーユルヴェーダの体質タイプの判定を受けます。体重測定、脈拍、身長、性格、出産歴、睡眠時間、嗜好品について(アルコール・カフェイン・タバコ等)、アレルギー、食べ物の好き嫌い、排便や排尿の回数等、水の摂取量他。問診はすべて英語で毎日ありますが、日本語の通訳を依頼でき言語に不安がある方も
安心です。(※通訳は別料金で最低2回から依頼可能なため全く英語が出来ない方以外は、初回と最終日に依頼することをお勧めします。)
初回の問診時に、滞在中の施術と食事が決まります。また天然ハーブ薬が医師から朝・夕処方されます。
問診後ヴィラに戻りトリートメント開始です。開始時間になるとスタッフが施術道具一式を持ってヴィラを訪れてくれます。ヴィラのバルコニーにはベッドが設置してあり、ヴィラに宿泊している私はそこでトリートメントをしていただきましたが、ホテルタイプのお部屋に滞在する場合は問診を受けたアーユルヴェーダセンターで施術を受けるようです。
<施術内容>※問診により決まった私の施術内容です。
ボディマッサージ
ヘッドマッサージ
ハーブボール(ハーブを布で包んだもので首肩にタッピング)
スチームガン(背中に蒸気を当てる)
アーユルヴェーダで使用したオイルは体に浸透させるため、施術後1時間は、シャワーはしないように言われます。そのためランチは施術後に着るガウンのままレストランに移動し、とることになりました。
施術は毎日午前中で終了するため、午後はフリータイムになります。昼寝をしたり、出掛けたりと、自由に過ごすことが出来ます。
ランチ後、私はシャワーを済ませ昼寝をとりました。1時間ほど昼寝をとるつもりが起きると夕食の時間を1時間程過ぎており、普段は眠りが浅い方ですが、この日は昼寝もあわせて通算12時間、1日の丸半分を睡眠に費やしてしまいました。
アーユルヴェーダの効果が早くも出ていたように思います。
2日目の食事
3日目
AM6:30~AM7:00ヨガ・朝食
参加者は私を含む日本人女性2人と、ヨガのみ参加の欧米人と思われる女性2人でした。
宿泊者ではなくても食事はもちろんのこと、ヨガの参加が可能になっており、Jetwing Ayurveda Pavilionsは滞在以外にもこういったスポット利用も出来るとのことです。
毎朝30分のヨガは毎回、内容が少しずつ異なるため飽きる事なく、楽しみながら無理せず体をほぐす事が出来る大好きな時間でした。
AM9:00ヴィラで医師の診察
ボディマッサージ
アーユルヴェーダセンターに移動してスチームボックス(首だけ出す箱型サウナ)
シロダーラ(眉間に体温より少し温度が高いオイルを落とす)
今回もシャワーは1時間不可のため、ガウンのままレストランへ移動しランチをとります。最初はガウンでの食事に慣れませんでしたが、他の宿泊者も同じようにガウンを着てレストランで食事をとっているため2回目ともなればこの異空間でのランチ様式に慣れ平然と食事を済ませられるようになっていました。
PM4:00 自由時間
昨日は、昼寝に時間を費やしてしまい外出しなかったので、この日はホテルの近くに徒歩で買い物にいきました。天然ゴムのビーチサンダルが買えるお店に出掛け、お土産にメイドインスリランカのビーチサンダルを購入しました。
スリランカの人々は普段はビーチサンダルを愛用しているように見えました。
PM6:00クッキングデモンストレーションと夕食
このデモンストレーションでは、Jetwing Ayurveda Pavilionsのシェフの皆さんが目の前で調理を披露してくださいました。作られた料理からは、ホテルの理念であり、アーユルヴェーダで重要とされる「五感を食べる」ということを本当に大切にしていることが感じられ、野菜・果物・スパイスで美しくおいしい料理を作るということにたくさんの工夫が詰まっていることを知る事ができました。
ここでの食事は完全ヴィーガン食で、肉はもちろん魚や卵、乳製品を一切使用しない食事になるため、当初は提供される食事に物足りなさを覚えていましたが、このデモンストレーションを通してシェフの皆さんの思いやアーユルヴェーダの理念を感じることができ1つ1つの食事の大切さを強く実感しました。
3日目の食事
4日目
AM6:30~AM7:00ヨガ・朝食
参加者は日本人女性2人と30歳台と思われるイギリス人ご夫婦でした。(男性の施術スタッフも在籍しているそうです。)
AM9:00 医師の診察
この日の天候は雨でした。シロダーラの後は、雨や風に当たってはいけないそうでヴィラでの施術はバルコニーになる事から、アーユルヴェーダセンターでトリートメントを受けることになりました。
ボディマッサージ
ボディスクラブ
シロダーラ
ネトラバスティ(目の周りに土手を作りギーというオイルを流す)
スチームボックス
シャワー2時間不可
PM1:30ランチ
PM4:00散歩
ホテルから徒歩10分ほどのところにJetwingBlueHotelという系列の五つ星ホテルがあるので見学に行きました。大きなプールがありスタッフにPavilionsホテルキーを見せれば、プールの使用ができるそうです。私はインド洋を眺めて過ごしました。道路の両側にも様々な店があります。日差しが強いのでサングラスがあるといいと思います。
PM6:30ミュージックセラピー
シタールという楽器の演奏を聴きました。それは大きなひょうたんの実をくり抜いた丸い形の弦楽器で、神秘的な共鳴弦の音色は癒やしやヒーリングの効果があるそうです。
まず曲の説明があり演奏に移りますが、曲自体は短めで一曲ごとに弦のチューニングが必要なようです。聞きながら眠ってしまっても良いとのことでしたが私は眠くなりませんでした。特徴的な音色は今も耳に残っていて、機会があればもう一度聴いてみたいと思います。
PM7:00夕食
4日目の食事
5日目
AM6:30~AM7:00ヨガ・朝食
AM9:00医師の診察
ボディトリートメント
ライスボール(お米をミルクで炊きハーブを混ぜ込んだものを布で包み全身タッピング)
ヘッドマッサージ
シャワーすぐにOK
AM12:30ランチ
PM1:30 ホテルの送迎の車でコロンボ市内観光後、空港へ。ドライバーさんと話し合いながら、行き先が決められます。
私は観光はせずにお土産を買うために、「アルピコ」というスーパーマーケットに行き紅茶や薬草入りの歯磨き粉を購入しました。その後、「パラダイスロード」という雑貨店で、スリランカの公用語のシンハラ文字が書かれたクロスを旅の記念に購入しました。
買い物を済ませ時間が余ったので、紅茶の有名店「Dilmaティーラウンジ」へ行きました。店内はカラフルで可愛いので観光も兼ねて寄るときっと記念になると思います。
私はミルクティーを飲みました。ホテルではノンカフェインの飲み物しか提供されませんでしたので、旅の締めくくり本場の紅茶を飲む事が出来て良かったです。
PM4:00 バンダラナイケ国際空港到着。
ここで、今回の旅の体験記は終了させていただきます。ところで、スリランカの挨拶は「アーユーボーワン」と言うのですが、「あなたの長寿をお祈りします。」という意味だそうです。私はそれを知って優しく穏やかな国民性を感じ、スリランカをもっと知りたくなりました。
スリランカは世界遺産が2つ、文化遺産が6つあり観光地としても見どころは満載です。次の旅行先の候補にしていただけたら幸いです。
5日目の食事
END